親愛なる、わたくしの旦那さまへ
1月21日に、あなたが実家に帰られてから、
お目にかかることもなく、電話でお話しすることもなく、
季節は夏を迎えようとしていますが、お元気でいらっしゃいますか?
あなたが今、とても窮屈で退屈な生活を強いられているだろうことは、
わたくしがいちばんよく存じ上げております。
先日の人権擁護委員の皆さんとのお話でも、
かねてから、わたくしが懸念していたとおり、
実はあなたの人権が、いちばん危ういのではないかと、
皆さんおっしゃっていました。
それでもあなたは小さな子供ではないのだし、
一時の感情からとはいえ、
わたくしと、ご自分の家庭を、家ごと捨てておしまいになって、
いま現在も、お父さまに何もかもお任せになったまま、
ご自身で責任を取ろうとなさらないのだから、
―悲しいことですが― もうどうしようもないのだと、
お三方とも、おっしゃいました。
わたくしは、いまだに考えてしまうのです。
あなたが、わたくしと出会わなければ、
わたくしが、あなたを「外の世界」に連れ出し、
本当の「世間」というものに対して目を開かせなければ、
あなたをここまで追い詰めることはなかったのではないかと。
でも、時間は元に戻せませんし、
わたくしと出会わなかったとしても、いずれあなたにも、
現実に立ち向かわなければならない時が来るはずだったのですから、
もう考えるのは、よそうと思っています。
あなたと出会って6年半、結婚して5年5ヶ月の時が過ぎました。
その時間の中で、
あなたの本質を一番に理解できたのは、わたくしだと、
そう思うのは自惚れでしょうか。
いつも手をつないで歩いた街並み。
ふたりで食べたアイスクリーム。
いつも車の中で大声で歌いながら行ったドライブ。
あなたが心の底から楽しそうに笑った顔。
その全部を、わたしくは「なかったこと」にするつもりはありません。
ただ、わたくしはもう、
あなたを、ひとりの男性としても、夫としても、家族としても、
愛することができません。
わたくしが共に人生を歩みたい人は、
わたしくが「可愛そうな人」と思ってしまう人ではないのです。
相変わらず、あなたのお父さまは、
ご自分の息子を家に閉じ込めたまま、
厄介者の嫁を追い出すことに躍起になられています。
でも、離婚というのは当事者同士にしかできないのですから、
あなた自身が弁護士さんとお話しになって、
きちんと私たちふたりで、
私たちの家庭を「終わり」にしなければなりません。
大人になると、やりたいことをやるためには、
その前に自分の責任や義務を、きちんと果たさなければならないのです。
あなたがそのことを、まだ理解されていないのは、
とても残念なことだと思います。
そして、人はずっと子供のままではいられないということを、
あなたのご両親が永遠に理解されないだろうことも、
とても悲しいことだと思います。
今度こそ、ご自分の意思で「外の世界」に出て、
あなたの幸せを見つけて下さい。
つらく悲しいことも、たくさんありますが、
世界はとても美しく、たくさんの驚きに満ちているのです。
どうか、あなた自身の時間を生きて下さい。
わたくしたちの結婚生活は、残念ながら終わってしまいますが、
あなたと過ごした楽しい時間を、
わたくしはずっと、大切に思って生きて行きます。
親のお人形さんにはなれなかった、あなたの妻より
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